葬儀の際に、僧侶から「戒名」を授かるには、どのくらいお金がかかるのでしょうか。戒名料には「一文字いくら」といった明確な基準がないため、お布施をどのくらい包めばよいのか、不安に思う人は多いでしょう。戒名料の相場や、費用を節約する方法を解説します。
戒名の意味と代金の支払い方
そもそも、戒名は何のためにあるのでしょうか?戒名の意味を知れば、戒名料がかかる理由や支払い方についても理解できるでしょう。
戒名は仏式葬儀に欠かせないもの
戒名は本来、出家した人に授ける「仏弟子」としての名前です。仏教には「人は死後、仏の世界へ旅立つ」という思想があり、仏弟子の証拠である戒名は、仏のいる極楽浄土へ行くために必要とされています。
このため仏教の葬儀では、生前に出家していない人にも僧侶が戒名を授け、極楽浄土へ行けるように祈ります。つまり戒名がない人は仏の世界に入れず、葬儀も成り立ちません。
寺院はもちろん、一般的な葬儀場でも、僧侶にお経をあげてもらうなら戒名が必要と覚えておきましょう。
戒名料は「お布施」として包む
戒名は僧侶が授けてくれるものですので、代金も「お布施」として包みます。また葬儀全般のお礼となるお布施とは、別に用意するのが基本です。
お布施の金額に明確な基準はなく、戒名料の料金表なども存在しません。ただし寺院によって、葬儀の慣習はある程度決まっているはずですから、あれこれと悩むよりはどうするべきなのかを直接聞いてみることをおすすめします。
包む額面が決まったら新札を白封筒に入れ、袱紗や切手盆にのせて僧侶にお渡しします。渡すタイミングも寺院によって異なるため、あらかじめ聞いておくとよいでしょう。
戒名料の相場
戒名料の相場は宗派や地域による違いのほかに、ランクによっても異なります。払い過ぎたり足りなかったりすることのないように、おおよその目安をチェックしましょう。
ランク別のおよその相場
戒名は宗派によって付け方に特徴がありますが、共通する部分も多く見られます。日蓮宗は戒名を「法号」と呼び、浄土真宗では戒名ではなく「法名」が与えられるのも特徴です。
戒名のランクを覚えておくと、寺院の提示する金額が適切かどうか、判断する目安になるでしょう。よく見かけるのが、最後に「信士」あるいは「信女」が付いたものです。
こちらは一般的なランクとされており、30~50万円ほどかかります。次の「居士」「大姉」は50万~80万円、さらに院号付きだと30万円以上プラスされると考えてよいでしょう。
ランクを決めるのはお寺
戒名の文字やランクは、故人の生前の功徳や社会的地位、檀家としてのお寺への貢献度などを総合的に判断して、僧侶が決めます。このため基本的に遺族などが口を挟むことは難しく、また挟むべきでもありません。
ただしランクによって戒名料の相場が大きく違うため、ランクの高い戒名を望まない人もいるでしょう。逆に、墓石に刻まれた後のことも考え、高ランクにして欲しい人もいるかもしれません。
お寺が絶対に希望を聞いてくれない、というわけでもありませんので、後悔しないためにも、事前に意向を伝えておくとよいでしょう。
戒名料を抑えるには
葬儀では戒名料の他にも、お金がかかるものです。数十万円ものお布施をすぐに用意できないケースもあるでしょう。戒名をもらわずに済ませる方法や、安く抑える方法を紹介します。
戒名がいらない葬儀スタイルを選ぶ
戒名は仏教固有のものですから、仏式の葬儀をしない場合は不要です。近年は家族葬や直葬など、僧侶を呼ばずに行う葬儀も増えているため、選択肢に入れておくとよいでしょう。
ただし故人の希望を無視したり、菩提寺があるのに相談しなかったりすると、トラブルに発展することもあり要注意です。
自分の葬儀で戒名が不要と思う人は、家族に意思表示しておくとお互いに安心です。
生前戒名や戒名授与サービスを利用
生前戒名とは、生きている間に戒名を授与してもらうことです。葬儀や納骨、法要を菩提寺ですることが決まっている人なら、住職に相談して生前戒名を授与してもらえば、葬儀で授与されるより安く済むとされています。
葬儀代の他に戒名料のお布施を負担する必要がないため、遺族の負担も減らせます。
菩提寺がない人は、インターネットの戒名授与サービスを利用してもよいでしょう。寺院が運営しているサイトなら安心ですし、費用も数万円程度で済みます。
散骨や永代供養する
戒名は納骨の時にも必要です。家族葬や直葬で戒名を付けなかったとしても、寺院が経営する墓地や納骨堂に納めようとすると、断られてしまう可能性があります。
戒名をいただかないと決めたなら、寺院の墓地ではなく公営墓地や宗教不問の民営墓地・樹木葬・永代供養・散骨などを検討しましょう。
戒名は本当にいらない?トラブルを防ぐポイント
戒名は高いしよく分からないから、いらないと考える人がいるのも当然です。ただ、故人の供養は本人のためというより、遺された人のためのもの。実際、戒名がないと、困ることもあります。トラブルを防ぐためには、どうすればよいのでしょうか。
事前に親族と話し合う
戒名の要不要を判断するのは、家族が亡くなり喪主を務める人や、自分の終活をしている人でしょう。戒名がいらない理由も、お金がもったいない、宗教的なことに興味がないなどさまざまです。
しかし一方では、戒名を重要なものと捉えている人もたくさんいます。「死後の名前がなければ、故人がかわいそう」と思う親族もいるでしょう。
既に埋葬する墓がある場合、先祖には戒名があるのに対して、1人だけ俗名(生前の名前)で彫刻されることになります。自分はそれで良くても、お参りに来た人がどう思うのかは分かりません。
余計な心配をかけないためにも、戒名がいらない理由をその後の法要・埋葬のやり方まで含めて親族とよく話し合っておきましょう。
後から授与してもらうことも可能
前述の通り、仏式の葬儀に戒名は必須ですし、僧侶を呼んで法要するなら民間霊園でも戒名がないと実施できないケースは十分あり得ます。そもそも仏弟子になっていないのに、法要だけしてくれというのも変な話です。
戒名は後から授与してもらうことも可能なので、お布施を払う余裕がない人はとりあえず家族葬や直葬で済ませ、法要までにお金を用意してもよいでしょう。
戒名の意味と料金の相場を知ろう
戒名とは仏の世界に行くために必要な、通行証のようなものです。日本では仏式の葬儀が主流ですので、他の宗教を信仰している人を除きほとんどの人が、死後に戒名を授かることになります。いざという時慌てないように、戒名の意味と料金の相場を押さえておきましょう。





